石 狩・屯田防風林(主に植物)に関する参考書・参考 文献 |
☆石狩町「石狩町誌 上巻」 |
1972 |
「第五章第一節 植物」に耕地防風林の植生が簡単に紹介されている。 |
☆水利科学研究所「都市化地域防風林の整備調査報告書」 札幌営林局 |
1975 |
3分冊に分かれ、1は概況、2は植生などの調査、3は住民アンケート結 果。屯田を含む石狩防風保安林の総合的な調査報告書で当地の防風林の基本文献。五十嵐恒夫「防風保安林の植生」 p.101〜122が詳しい。 |
☆竹越俊文「防風林」北方林業 27(6)北方林業会 |
1975 |
1975年当時のポプラ通の様子が記されている。道路を隔てた家がヤチダ モに綱を張って洗濯物を乾かしていたり、ちょうど庭先に当たるくらいの近さの家では、手製のベンチを林内に据え ていた。 |
☆内田実「都市化と防風林 —恵庭・千歳・石狩国有防風保安林における意識調査の因子分析—」 ☆札幌大学学術リポジトリ |
1976 |
都市化の波にのまれ、耕地防風林としての機能が失われ、都市林として考え なくてはならなくなった国有防風保安林(石狩町・札幌市屯田・新琴似・樽川・恵庭・千歳)に対し、地域住民は何 を考え何を希望するかアンケート調査を行った結果の解析。 |
☆屯田開基九十周年協賛会「屯田九十年史」 |
1978 |
195ページから14ページに渡って屯田の開拓二世粟生亨さんがコラム 「屯田防風林」を執筆している。防風林の歴史を振り返り、「いまその重大な使命を終わって、市民に緑化思想を植 えつけ、自然を愛する豊かな詩情を振起こさせる新しい任務についた」と締めくくっている。 |
☆伊藤諭 他「防風林をフィールドとした理科の学習プログラムの開発」日本科学教育学会年会論文集 4巻 ☆J-STAGE |
1980 |
札幌市立新琴似北小学校が校区内の防風林をフィールドとして理科学習を 行った記録。「防風林の草花開花一覧表が載っている。 |
☆恒屋冬彦・伊藤浩司「札幌市北部の潜在自然植生」北海道大学大学院環境 科学研究科紀要 6(1) ☆北海道大学HUSCAP |
1983 |
札幌市北部地区53地点の現存植生と土壌調査から原植生と潜在自然植生を 推定。 |
☆新琴似百年史編纂委員会「新琴似百年史」 |
1986 |
「防風林の役割」と題して4ページが割かれ、「急速に都市化が進む中で、 開拓当時からの面影を伝える自然の姿は貴重なもの。「日常生活との調和を保つ努力をしながら、この遺産を守って ゆきたい」というのが、地区住民の意思の公約数のようである。」と書かれている。 |
☆新琴似連合町内会「新琴似二百号縮刷版」 |
1986 |
1980年の124号から1981年の135号まで「防風林に学ぶ教育」 と題して新琴似北小学校が寄稿している。地元の小学校として毎年の巣箱かけ、植物や積雪の調査など防風林を生き た教材として活用した貴重な記録。なお地域新聞「新琴似」は現在も発行が続いており、100号毎の縮刷版が5冊 刊行されている。そのなかには防風林に関する折々の出来事も掲載されている。 |
☆金上由紀「北部の春の花々」花ある風景 サッポロ文庫 56 ☆札幌市HP |
1991 |
「札幌の植物」の調査にも携わった著者が、札幌北部地域の春の花を中心 に、北の都札幌の市街に残された自然を詩情豊かに描いている。この文章で名前の挙げられたほとんどの植物が屯田 防風林にも生育している。 |
☆環境緑地研究所「屯田防風保安林環境調査報告書」札幌市環境局緑化推進 部 |
1992 |
コの字型の屯田防風林の内、ポプラ通や屯田西公園接続部分を除く、市街化 調整区域内の部分について、将来の環境整備を見据えた総合環境調査報告書。 |
☆原松次編著「札幌の植物―目録と分布表」 北海道大学図書刊行会 |
1992 |
北海道植物友の会の原松次さん率いる調査班が4年をかけて札幌市内及び周 辺部の53地点の植生を調査した目録と分布表。札幌の植生に関する基本文献の一つ。調査地点として石狩と屯田が 載っている。 |
☆花川北森林愛護組合「共生の森―防風林設置100年記念誌」 |
1993 |
石狩植物愛好会の阿部義孝さんの「花川北防風林の植物」が写真とリスト付 きで載っている。また「防風林は文化遺産」と題して石城謙吉北海道大学苫小牧演習林長も寄稿してる。 |
☆愛知県団体開拓百年記念事業協賛会「生振村愛知県団体開拓百年史」 |
1993 |
「第三節 生振村の自然」に生振筋違防風林と生振基線防風林の植生概況、 阿部義孝さんの生振筋違防風林植物リストが載っている。また北海道大学環境科学研究科の木下慎・高木昌興両氏に よる特別寄稿「生振の自然と動物」が当時の防風林の様子を伝えている。 |
☆八坂通泰・須永由紀・川崎文圭・紺野康夫「森林の孤立化が3種の多年草 の結果率にあたえる影響」日本生態学会会誌 44(1)日本生態学会 ☆J-STAGE |
1994 |
森林の孤立化が林床のエゾエンゴサク、オオアマドコロ、エゾトリカブトに あたえる影響について調べ、昆虫の訪花頻度が減少すると結果率が低下することが判った |
☆石狩町緑化推進協議会「石狩町植生概況調査報告書」平成7年度 ☆石狩 市HP |
1995 |
石狩町の委託を受けて阿部義孝さんら4人が町内全域で植生調査を行った報 告書。その中に花川南防風林、花川北防風林、生振筋違防風林・生振基線防風林の植生リストがカラー写真とともに 載っている。 |
☆佐藤孝弘・鈴木悌司・杉浦勲「都市近郊林の推移解析と機能発揮のための 方策調査(II)—札幌市の公園・緑地・里山の森林植生の現状— 日本林学会北海道支部論集 43 ☆J- STAGE |
1995 |
都市近郊にみられる森林衰退の原因の一つとして、森林の孤立化が挙げられ る。孤立林は島状生態系として、外来種との競合、森林の更新機構など、特異な生態系を形成していることが多い。 その一方で市街地の孤立林は、都市住民に残された貴重な自然であり、実際にそのような場が保全され、住民の憩い の場として活用されている例も多い。今回の報告では、札幌市内の公園・緑地・里山部に存在する天然林の植生の現 状から、札幌市における孤立林の実態把握とその保全についての考察。 |
☆恒屋冬彦「北海道石狩町生振の低地に成立する森林群落について―主な樹 種の分布様式と生育地の特性」日本生態学会誌 46(1)日本生態学会 ☆J-STAGE |
1996 |
紅葉山砂丘や花畔砂堤列帯を含む地域に成立している生振の筋違防風林・基 線防風林の植生を土壌タイプとの関連でまとめている。 |
☆石狩市「石狩百話」 |
1996 |
第13話に「防風林の保護」、「花畔の防風林は休養緑地、風致林としてそ の役割は変わっても、明治二十六年以来百年の歴史を持ち、開拓の息吹きを今に伝える貴重な文化遺産といえる」と 結んでいる。 |
☆佐藤孝弘・鈴木悌司・杉浦勲「孤立林は都市住民にどのように利用されて いるか?」—札幌市ひのまる公園における利用調査から— 日本林学会北海道支部論集 44 ☆J-STAGE |
1996 |
札幌市の住宅街にある孤立林「ひのまる公園」と郊外の里山にある「札幌ふ れあいの森」の利用者を比較した研究。市街地に孤立している小規模な森林であっても、たくさんの人達の憩いの場 となりえている。また家族連れ利用は双方に共通していたが、高齢者主体の利用はひのまる公園だけに見られた。 |
☆与那覇モト子「花川南防風林」北方林業 49(8)北方林業会 |
1997 |
花川在住の与那覇モト子さんが「私のお気に入りの散歩道」シリーズの一つ として4ページに渡って詳しく報告している。 |
☆北海道「石狩湾新港地域に係る環境影響評価書(確定)」 |
1997 |
周辺地域の現地調査で生振・花川・屯田の防風林も調査され出現植物が一覧 表になっている。そのうち花川南防風林で一ヶ所方形区調査がなされ組成表が載っている。 |
☆矢部和夫・吉田恵介・金子正美「札幌市における都市化が緑地の植物相に 与えた影響」 ☆J-STAGE |
1997 |
札幌市内の11の緑地(ポプラ通を含む)の植物相(原松次「札幌の植物」 から引用)を主成分分析法によって解析し、緑地の孤立化による植物の減少と緑地内の撹乱による雑草の増加という 指標を抽出。 |
☆石川幸男「石狩平野の幹線防風林」北海道の自然 36 北海道自然保護 協会 ☆きたマップHP |
1998 |
石狩平野の防風林には開拓以前の原植生の名残りが含まれており、自然の現 況を考えるスタンダードとして、また先人の苦労を知る上でも重要だとして、各地の防風林を概観している。防風林 ウオッチングの基本文献の一つ。 |
☆亀山哲・小高信彦・金子正美・小野理「GIS・リモートセンシングを用 いた生態系保全のための都市域孤立林の評価・解析」—札幌市街地におけるアカゲラの繁殖可能地抽出— 日本リ モートセンシング学会誌 18(1) ☆J-STAGE |
1998 |
都市の緑地環境を、アカゲラの住みやすさから評価しようという研究。ポプ ラ通は北大構内と同程度の営巣が見られた。 |
☆笠康三郎・斎藤諭・川口真由美「札幌市ポプラ通におけるオオウバユリ (Cardiocrinum cordatum var. glehni)の分布と生育状況 日本造園学会北海道支部大会・事例報告発表要旨/会報 第4号 ☆緑花計画HP |
2000 |
ポプラ通のオオウバユリ群生地における分布パターンや生育条件などの詳細 な調査報告。 |
☆並川寛司・奥山妙子「北海道中央部石狩低地帯における湿生林の種組成と 群落構造」植生学会誌 18(2) 植生学会 ☆J-STAGE |
2001 |
日本海から太平洋に至る石狩低地帯のハンノキ・ヤチダモ・ハルニレなどの 優占する湿性林40ヶ所を植物社会学的に調査し、主に大平洋側にハルニレーハシドイ群落、日本海側にヤチダモー ミズバショウ群落が区分された。これは気候環境や土壌条件の違いを反映している。 |
☆宇野浩三「札幌市北部地域の緑環境整備に関する研究」 都市学研究 : 北海道都市地域学会研究論文集 (38) 北海道都市地域学会 編 北海道都市地域学会 ☆国立国会図書館デジタルコレクション |
2001 |
花川北・花川南・屯田・新琴似・北大の五地域の周辺住民、各(約)60戸 にアンケート調査を行い、緑や自然にたいする住み手の意識、緑が住み手に与える影響、札幌圏域や調査対象地区内 のおもな公園・緑地の利用状況、住み手が求めている緑環境の内容・形態などを明らかにし、今後の都市域の緑環境 のあり方について検討したもの。 |
☆河原孝行「北方草木便り・3・」 日本植物分類学会ニュースレター 6 号 日本植物分類学会 ☆日本植物分類学会HP |
2002 |
「クロミサンザシCrataeguschlorosarcaはバラ科の低 木で、5-8m位になる。環境省版で絶滅危惧IA類、北海道版でも絶滅危機種(Cr)と評価は一致している。河 川沿にできたやや湿性の平地に生えており、(中略)防風林がこのような種の待避地になっている。」 |
☆花川北森林愛護組合「共生の森 第2集」 |
2003 |
阿部義孝さんの追跡調査と与那覇モト子さんら4人による調査結果が花川北 防風林の【草本植物】【木本植物】計210種としてリストアップされている。 |
☆札幌市北区役所「新・北区エピソード史」 ☆札幌市北区役所HP |
2003 |
「屯田防風林とともに生きる人たち」のなかで、入植三代目の粟生嗣悳さん の「地域の共通財産としてこれからも残していかなければ」という言葉を伝えている。 |
☆近藤圭・藤原一繪「札幌北部近郊における防風林の植物種組成と森林履 歴」日本生態学会50回大会講演要旨集 ☆J-STAGE |
2003 |
「特に湿性林では成立年代の古い防風林ほど特有の植物種が見られた。森林 性でない希少植物が比較的若い防風林内に確認されたことから、現在発達段階の防風林がこれらの種のrefuge となっている事が今回明らかになった。」 |
☆河原孝行「札幌周辺里山の植物の多様性にせまる」研究レポート NO. 67 森林総合研究所北海道支所 ☆森林総合研究所北海道支所HP |
2003 |
「防風林は従来周辺に普通に生育していた湿性植物や開放地性植物が逃げ込 んでいるレフュージア(待避所)として大きな役割を果たしていると考えられます。」 |
☆石狩市教育委員会「石狩ファイル」 ☆いしかり砂丘の風資料館HP |
2004〜 |
防風林関係では「花川南防風林」林迪子、「石狩のエンレイソウの仲間」林 迪子、「防風林」神林勳、「石狩の植物」石井滋朗、など。 |
☆八坂通泰「絶滅のおそれのある樹木クロミサンザシの保全へ向けて」光珠 内季報 No. 136 ☆北海道立総合研究機構 林業試験場HP |
2004 |
自生地内および自生地外の保全とは?、クロミサンザシの生育環境、個体数 の増減に影響を与える要因、実生による増殖および種子の保存性。 |
☆河原孝行「札幌近郊の植物多様性をはかる」平成15年度森林総合研究所 北海道支所年報 ☆森林総合研究所北海道支所HP |
2004 |
防風林は従来周辺に普通に生育していた湿生植物や開放地性植物が逃げ込ん でいるレフュージアとして大きな役割をはたしていると考えられた。 |
☆山田織江・冨士田裕子「「拓北の森」の植生と土地利用変遷との関係」北 大植物園研究紀要 5 ☆北海道大学HUSCAP |
2005 |
かつて牧草地及び水田として利用され、その後約36年間放棄地となってい る「拓北の森」の現植生 |
☆塚田友二・岡秀一「北海道石狩平野に残存する森林の植生構造と人為攪乱 の関係」日本地理学会発表要旨集 ☆J-STAGE |
2005 |
「絶滅危機種であるクロミサンザシなどの生育地になり,林分はレフュージ アとしての可能性を持つ」 |
☆八坂通泰「絶滅のおそれのある植物の保全と森林施業」 北方林業 Vol. 57 |
2005 |
絶滅のおそれのある樹木クロミサンザシの保全に向けて。絶滅のおそれのあ る植物の保全のための森林施業。 |
☆河原孝行・山下直子「絶滅危惧植物クロミサンザシの繁殖生物学 I 」 ☆J-STAGE |
2005 |
「防風雪林がクロミサンザシの生き残れるレフュージアとして重要な役割を 果たしている。(中略)集団間の遺伝的分化と遺伝子流動の状況を明らかにすることを目的として行なった。」 |
☆石川幸男「石狩平野の防風林の特性と多面的機能」森林の科学 朝倉書店 |
2005 |
石狩平野の天然性防風林は、現在でも開拓以前の姿をのしており、動物を含 めた野生生物のハビタットとして機能している。 |
☆河原孝行「日本の絶滅危惧樹木シリーズ(19) クロミサンザシ」 林 木の育種 219 林木育種協会 |
2006 |
「クロミサンザシの更新は河川の氾濫など稀に起こる攪乱によって一時的に できた開放地で生じる、という不連続な更新形態をとっていると考えられる。」 |
☆北海道立林業試験場「防風林の多面的機能と造成管理のための解説書」☆ 北海道立総合研究機構 林業試験場HP |
2007 |
防風林は農村景観の中で象徴的な役割を持ち, 良好な地域イメージの形成に貢献しています。周辺に森林がない農村地域にある防風林は,樹木や野草 を利用する鳥獣や昆虫などのビオトープといえ,隣接する 森林からの移動経路(コリドー)にもなります。幹線防風林のように広く,年数を経た林には,野鳥などに散布 された様々な植物が追加され,利用する野生動物も豊かです。 |
☆八坂通泰「絶滅のおそれのある樹木の保全に向けて」 林木遺伝資源連絡 会誌 第3号 ☆森林総合研究所林木育種センターHP |
2008 |
2自生地の生育環境、3繁殖特性、4実生による増殖、5クロミサンザシの 保全対策。 |
☆八坂通泰・脇田陽一・小久保亮・佐藤孝夫「北海道におけるクロミサンザ シの生育実態と保全の取り組み」 生物科学 59(3)岩波書店 |
2008 |
1.クロミサンザシとはどんな樹木?、2.自生地の生育環境、3.繁殖特 性、4.実生による人工増殖、5.クロミサンザシの保全対策、6.北海道における保全の取り組み |
☆脇田陽一・八坂通泰・真坂一彦・山田健四・佐藤孝夫「RAPD法から見 た北海道におけるクロミサンザシの地理的変異」日本森林学会北海道支部論文集 56 日本森林学会北海道支部 ☆J-STAGE |
2008 |
道内10箇所から採取したクロミサンザシのDNAを分析した結果、道央・ 道東・野付(一部)の3グループに分けられるという。 |
☆石川幸男「16章 石狩平野の農村景観における防風林の実態とその意 義」森への働きかけ 海青社 |
2010 |
著者のこれまでの石狩平野の防風林研究をまとめた総説。調査した58の防 風林に出現した植物276種のなかに道の絶滅危惧種が12種も含まれている。ヤチダモ防風林自体も更新機能が失 われて絶滅危惧群落となっているとしたうえで、21世紀の防風林の意義や利用を考える必要性を訴えている。 |
☆飯塚修「ヤチダモを主林木とした防風林内の植生 ―北海道長沼町での調 査結果から―」 |
2010 |
「防風林全体の樹種構成は、主林木のヤチダモを上層木とし、下層にはマユ ミ、エゾニワトコ、カンボク、エゾノコリンゴ等が多く繁茂し、中層木にはヤマグワ、エゾサンザシ、エゾノウワミ ズザクラ等が、また、林床にはナニワズ、フッキソウ、エゾイチゴ、コマユミなども自生している。木本性つる類で はヤマブドウ、ノブドウ、ツルウメモドキ、ツルマサキ等、実に17科40種類もの樹木の仲間が混在し、理想的な 複層林を形成している。」と書かれているが、このエゾノコリンゴをズミ、エゾイチゴをイシカリキイチゴと置き換 えれば、まるで屯田防風林のことが述べられているようだ。 |
☆日本の里山・里海評価 – 北海道クラスター「里山・里海: 日本の社会生態学的生産ランドスケープ – 北海道の経験と教訓 –」国際連合大学(UNU-IAS) ☆国際連合 |
2010 |
3.3 防風林(調整サービス、供給サービス、文化的サービス)、その後の防風林の変化、防風林から得られる生態系サービスと人間の利益、およびその変化 |
☆河原孝行・山下直子「希少樹種の現状と保全 11 クロミサンザシ」 ☆森林総合研究所HP |
2011 |
「クロミサンザシのもともとの生育地は、傾斜の少なく、湿っていて、川が 分岐合流を繰り返して土壌がたまっている肥沃な氾濫原である(中略)現在、このような低湿地は、農地、牧草地、 住宅地、工業用地として開発が進み、クロミサンザシの生育地がほぼ消滅してしまった。」 |
☆河原孝行 「希少樹種の現状と保全 10 エゾノウワミズザクラ」 ☆ 森林総合研究所HP |
2011 |
「石狩周辺の防風林植生調査では89箇所中クロミサンザシは5箇所で確認 されたが、エゾノウワミズザクラは3箇所で確認されたにすぎない。」 |
☆高橋英樹・露崎史朗・笹賀一郎・斎藤貴之「改訂版 北大エコキャンパス 読本 ―植物編 付・鳥類リスト―」 北海道大学総合博物館 ☆北海道大学HUSCAP |
2011 |
11ページにわたって北大構内24ヶ所の植物分布表が載っている。キャン パス内には8種ものレッドデータブックに記載されている植物が自製状態で生育している。次の世代にこれらの植物 種を継承する責務が我々、現代の北大人にはある。 |
☆梅澤弘一「十勝地方の耕地防風林の適正更新に関する研究」岩手大学博士 論文 ☆岩手大学リポジトリ |
2011 |
芽室町における耕地防風林の現況、耕地防風林の成長モデル式構築と樹齢推 定、減風効果領域の推定、耕地防風林適性更新のシミュレーション、耕地防風林の今後のあり方 |
☆中川孝介 「北海道の農村における防風林の多面的機能と管理 —景観スケールで見た防風林の機能と管理—」 北方林業 64(8)北方林業会 |
2012 |
北海道の防風林は、農村景観の象徴的役割を持ち、良好な地域のイメージ形 成に大きな役割をはたしている。防風林は生態学的にも優れた働きを持っている。周りを農地に囲まれ、孤立した状 態にある防風林は、樹木や草花、そしてそれらを利用する鳥獣や昆虫などの重要な生息地といえる。 |
☆那須守・岩崎寛・高岡由紀子・金侑映・石田都「都市域における緑地とそ の利用行動が居住者の健康関連 QOL に与える影響」日本緑化工学会誌 38(1) ☆J-STAGE |
2012 |
都市における緑地とその利用行動が居住者の健康関連 QOL(生活の質: Quality Of Life)に及ぼす包括的な影響を、構造方程式モデリングによって、構造的かつ数量的に解明することを目的とした研究 |
☆金指あや子・吉丸博志「日本における希少樹種の現状と保全」地球環境 18 国際環境研究協会 ☆国際環境研究協会 |
2013 |
防風林関係では、エゾノウワミズザクラ・クロミサンザシ・ヤチカンバにつ いて書かれている。 |
☆札幌市「生物多様性さっぽろビジョン」☆札幌市 |
2013 |
第3章「札幌市における生物多様性の現状と課題」 |
☆新田紀敏「美唄市南部耕地防風林の植物」旭川市北邦野草園研究報告 3 |
2015 |
この地域には自然植生はほとんど残っていないが、防風林内は数十年にわ たって人為的撹乱が少ない状態がつづいているため比較的豊かな在来植生が見られる。道内では生育地が限られてい るチョウジソウの大きな群落があり、また、クロミサンザシが調査地全域に散見される。 |
☆富松裕「第5章 生息地の分断化」シリーズ 現代の生物学 3「人間活動と生態系」 共立出版 |
2015 |
北海道の草本オオバナノエンレイソウでは、小さな個体群ほど、花あたりの 種子数が少なくなる傾向が見られた。また個体数の減少は、遺伝的多様性の低下や近親交配を引き起こす。生息地の 境界に近いところでは、外部の影響を強く受けることで、さまざまな環境条件が変化する。これをエッジ効果とい う。生息地が他から孤立すると、生物の移動が妨げられる。 |
☆紺野康夫・柳川久・辻修「防風林のはたす生態系サービスと人々の生活」 北海道の自然 54 北海道自然保護協会 ☆きたマップHP |
2016 |
防風林は防風効果以外にも、特徴ある景観を作ることで文化、観光、教育に 貢献し、さらに動植物の生息地や移動経路となることで生物多様性の向上にも貢献している。しかし、現在の幹線防 風林は蘇生が単純なこともあり、生物多様性の向上に関して十分に機能を発揮できていない面もある。一方、耕地防 風林は現在の延長距離を維持できるか、楽観が許されない。 |
☆曽我昌史・今井葉子・土屋一彬「「経験の消失」時代における自然環境保 全 : 人と自然との関係を問い直す」ワイルドライフ・フォーラム 20(2) ☆J-STAGE |
2016 |
米国の昆虫学者Robert Pyle博士は著書「The Thunder Tress」(1993)において、日常生活における自然体験の減少を「Extinction of Experience(経験の消失)」と名付けた。本書の中で彼は、経験の消失は我々が自然から恵みを受け、自然の価値を認識する機会を失わせるだけでな く、自然環境に対する保全意識を大きく衰退させる危険があることを指摘した。 |
☆大塚芳嵩・那須守・岩崎寛「これからの都市緑地と公衆衛生:社会疫学と 心理学を採り入れた健康増進方策」日本緑化工学会誌 43(3) ☆J-STAGE |
2018 |
都市緑地は、人間の心理や行動傾向を踏まえたデザインへと再整備されるこ とで、健康増進や健康格差を解消する機能を有した都市の基幹施設として再認識されるのではないだろうか |
☆なかいのりこ「防風林のこどもたち」〔株)みらい |
2020 |
ポプラ通近くの私立保育園の園長を長年務めてきた著者が「身近な自然の中 へ子どもたちを連れていき、豊かな情緒を育みたい」という念願の夢に取り組むほっこり保育実践記。 |
☆速水将人・岩崎健太・新田紀敏・中濱直之「北海道の防風保安林に息づく 絶滅のおそれのある野生動植物 ―生息環境と防風林管理の関係―」光珠内季報 No. 194 ☆北海道立総合研究機構 林業試験場HP |
2020 |
十勝地方において、防風林が希少種のレフュージアとして機能している例、 及び防風林の管理がそのような希少種の生息環境の維持にも貢献している事例を紹介している。 |
☆北海道水産林務部・北海道立林業試験場「防風保安林の効果と更新方法」 ☆北海道立総合研究機構 林業試験場HP |
2020 |
防風林のもつ多面的な効果(「生物多様性を守る」も含まれる)。防風保安 林の更新方法。 |
☆飯田晶子・曽我昌史・土屋一彬「人と生態系のダイナミクス 3 都市生態系の歴史と未来」朝倉書店 |
2020 |
都市の自然と人との関わりを、歴史・生態系・都市づくりの観点から総合的 に見る。都市生態史/都市生態系の特徴/都市における人と自然との関わり合い/都市における自然の恵み/自然の 恵みと生物多様性を活かした都市づくり |
☆新田紀敏「美唄市フットパス ハンディ図鑑 1 宮島沼と防風林 春の花」 |
2021 |
190種類のカラー写真図鑑 |
☆新田紀敏「美唄市フットパス ハンディ図鑑 2 宮島沼と防風林 夏・秋の花」 |
2021 |
211種類のカラー写真図鑑 |
☆中濱直之・速水将人・岩崎健太・新田紀敏「Management and landscape of shelterbelts contribute to butterfly and flowering plant diversity in northern Japan」Ecological Research 37(6) ☆ReseachGate |
2022 |
本研究の分析の結果、半自然草地と更新地では、絶滅危惧種である蝶とその 寄生植物が特徴的であることがわかった。防風林更新とその周辺環境が、絶滅危惧種を含む蝶や顕花植物の多様性に 寄与していることが示唆された。今後、様々な分類群の多様性を評価する研究が進めば、防風林が生物多様性保全に 与える効果についてより包括的に理解することができるのではないか。 |
☆北方森林学会「北方林業 73(4)〈特集〉防風林」 |
2022 |
鳥田宏行「防風林の成立と今後の課題」、岩崎健太「農と林の垣根を越える ために」、早川悟史「防風保安林の健全化に向けた施設整備と隣接農地にもたらす効果について」、速水将人「北海 道の防風林管理が育む絶滅危惧種と生物多様性」、井口真緒「防風保安林の再整備に当たっての課題への対応」、八 巻一成「防風林の文化的機能」 |
☆井口真緒「防風保安林の再整備に当たっての課題への対応」令和3年度 北の国・森林づくり技術交流発表会ポスター ☆北海道森林管理局 |
2022 |
高齢化した防風林の再整備(伐採)作業後に有識者や地元保全活動団体から 希少植物(チョウジソウ・エゾカンゾウ)に対して配慮されていないという問題提起があった。 |
☆並川寛司「石狩低地帯における落葉広葉樹林の生態—気候環境の背腹性に 着目して—」北海道の自然 60 北海道自然保護協会 |
2022 |
石狩低地帯の落葉広葉樹林は大きく、ヤチダモ—ミズバショウ群落とヤチダ モ—ハシドイ群落に分けられ、前者は島松—長沼を結ぶ線より北側、後者は南側に偏って分布している。 |
☆速水将人・岩崎健太「役に立つ防風林」☆北海道立総合研究機構 林業試験場HP |
2023 |
防風林のさまざまな効果(強い風から農作物や住環境を守る。吹雪や海霧を とめる。風食を防ぎ、畑の土をまもる。温度を高め、作物の成長を早める。生物多様性を守る。美しい景色をつく る。)防風保安林の管理について(減風効果を維持する伐採方法。生物多様性の保全。)持続的な防風林管理のため に(今後の森林管理は、技術的課題の克服とともに、未来の森林の担い手である子どもたちや若者の興味や関心を育 むことが必要です。特に幼少期に自然の中で生き物に触れ合う体験は、身近な森林に関心を持つきっかけになりま す。) |
☆速水将人「身近な森林の持続的管理とご利益—北海道の防風林管理が次世 代に遺す生物多様性—」北海道の自然 61 北海道自然保護協会 |
2023 |
要旨「防風林は、住宅地・農地・道路にそって設置される身近な森林で、強 風などの気象害を軽減する役目を果たしている。 また、絶滅危惧種の生息地としての機能など、多様な生物の生息場所を提供している。 近年の研究では、北海道の防風林を含む景観の維持や管理といった“人による手入れ”が、チョ ウや開花植物の多様性維持に貢献していることが明らかになった。 今後の防風林管理では、生息する種の生態を踏まえて既存の管理にうまく組み込むことで、防風林本来の減風機能と生物多様性保全の両立が可能となるであろ う。 また、防風林を含む北海道の身近な森林の持続的な管理は、森林機能を健全に維持するだけでなく、子どもたちがふだん見られない生き物と触れ合う自然体験を 育み、生物多様性への興味・関心 意識を高める場を遺すことにも繋がるだろう。」 |